クレヨンネット 心のケアボランティア活動の大原則
■2011/6/10日付の朝日新聞 〈アートセラピー「注意を」〉 という記事について
2011年6月10日付けの朝日新聞に 〈アートセラピー「注意を」〉 という記事が出ました。主旨は「被災地の子どもに絵を描いてもらう『アートセラピー』について、日本心理臨床学会が注意を呼びかける指針をまとめた」というものです。
記事では「心の不安を絵で表現することは必ずしもPTSDの予防にはつながらず、かえって傷を深くする場合もある」として、日本臨床心理学会が出したガイドラインの抜粋が紹介されています。
内容は、心の表現活動は専門家や現地の援助者と共に行う。安心感を持てる環境で継続的に行う……などというものです。これは臨床心理などの専門領域としては当然の基本指針と思われます。
私たちクレヨンネットでもこれまでに、「子どもの自発性の範囲で絵を描くようにし、無理強いしない」「継続性を大切にする」「PTSDなどの深刻な症状が感じられる場合は専門医の受診を促す」などを含む6項目の基本ルールに沿って実施してきています。
このルールは 〈「心のケア」による二次被害防止ガイドライン〉 と基本的に共通するものであり、詳細を知りたい方はぜひ下記サイトをご覧になることをお勧めします。
◆「心のケア」による二次被害防止ガイドライン (日本臨床心理学HPより)
http://heart311.web.fc2.com/guideline1.pdf
あらためて確認しますが、私たちの目的は子どもたちがお絵描きを通してリラックスできる時間を提供するという範囲です。クレヨンネットの母体である「アート&セラピー色彩心理協会」はアートセラピストの他、教師、養護教諭、看護師、精神科医、臨床心理士など心のケアに関わる専門家も所属する民間団体であり、上記のような基本ルールを共有しています。
被災地では様々なグループによる心のケアのボランティアが行われていると思いますが、中には単発で終わったり被災者の気持ちとかけ離れた対応が起きうるかもしれません。時にはそれが二次被害となりかねないので配慮が必要です。
被災者とのズレを起こさないためにも、心のケアの活動は被災地の状況に沿ったものであることが前提です。クレヨンネットは、被災した当協会の会員が自ら始めた絵によるセルフケア、あるいは身近な被災者への心のケアという形で当事者の活動から始まりました。クレヨンネット事務局はそれを支援する形で、現地の要請に沿ってサポートを続けています。現地では継続した場も生まれ、お絵描きの時間を楽しみに待っている子どもたちもいます。
私たちは、子どもたちが安心と信頼を持てる環境で自由に絵を楽しみ、それによって心の元気を取り戻していくことを信じています。